座談会/CROSS TALK 2021
女性経営者のパワーでもっと輝く仙台へ
会長/株式会社カネサ藤原屋 代表取締役副社長 佐藤 万里子氏
副会長/荒岩商事株式会社 取締役副社長 荒井 美佐子氏
副会長/医療法人社団 裕歯会 わくわくモリモリ保育所 所長 猪股 佳子氏
副会長/株式会社イトオン 取締役 伊勢 千佳子氏
副会長/株式会社ユーメディア 取締役 今野 彩子氏
交流が生む”絆”で街を元気に
佐藤会長(以下:佐藤):女性会そのものは商工会議所の一部で、全国各地にある団体です。その組織力という点では、日本では最大規模の女性団体です。だから、有事があったときにいち早く地域の支援ができるのが女性会のひとつの強みです。経済を支える上で女性の力はとても大きいので、私たち仙台商工会議所女性会も「街を元気にする」という目標を掲げ、多岐に渡る活動をしています。
2021年で仙台商工会議所女性会は60周年を迎えました。その歴史は女性会に長く関わってこられた荒井副会長がよくご存じですよね。
荒井副会長(以下:荒井):私が女性会に入会した当時は、女性が自由に意見を言えるような社会ではありませんでしたが、そんな中でも、年代も業種も様々な先輩経営者たちと出会い、女性としてのたしなみを学び、子育てや介護を経験してきた先輩方から仕事に留まらない苦労や成功経験を聞いて、多くのことを吸収してきました。
仙台だけではなく、全国の名だたる女性経営者が各地の女性会に参加していて、仙台の女性会での交流はもちろん、地域を越えた交流の機会もあります。
佐藤:コロナ禍ではなかなか活動ができませんでしたが、「わざわざ行ってでも皆に会いたい」という想いを会員の皆さんが強く持たれていたんです。リモートでも交流はできますが、実際に集まって状況を確認しあい、元気や情報をもらう時間は大切な機会であり、女性会の魅力だと思います。その機会のひとつが委員会活動ですね。
猪股副会長(以下:猪股):はい。女性会には3つの委員会があり、私は総務・広報委員会を担当しています。総務・広報委員会は、年1回の総会の仕切りや、女性会会員向けの広報誌「たばね」の発行を年に数回行っています。
委員会はメンバーが雑談レベルで、意見を自由に言えるのが最大の魅力だと思います。たまには気分を変えて、ランチをしながら今後何をしたいかお喋りして、その中からアイデアが生まれることもあります。私も活動していて、最も楽しさを感じるのは委員会活動をしている時が多いですね。
伊勢副会長(以下:伊勢):私が担当しているビジネス・交流委員会は、会員間交流を促進する企画をする委員会で、まちづくりに関わる企画もしています。活動のメインは、毎年の年始に開催される新年会の企画・運営です。そのほかにも、仙台で活躍している企業へ訪問して社長にお話を伺う企業訪問事業を行っています。基本的に会員の皆さんはビジネスをされていて、委員会名にも「ビジネス」の冠が付いているので、楽しい交流の機会はもちろん、ビジネスに役立つ事業をもっと企画したいと考えているところです。
今野副会長(以下:今野):私が担当しているのは女性活躍委員会です。その名のとおり、地域と企業における女性活躍を推進するために活動しているのですが、「女性活躍」という枠に縛られず、何をするのが一番良いのか考えるところから話し合っています。
私も含め、図らずも子育て中のメンバーが多いので時間の制約もあり、今までの歴史を知らないメンバーも多いのですが、その視点から柔軟なアイデアが生まれる姿を目指したいと思っています。柔らかいテーマの活動も行いながら、「商工会議所としての女性活躍とは何か」を考えられる事業を行っていきたいです。
支え合い、励まし合い、学び合う仲間として
伊勢:私はもともと商工会議所の青年部に所属していたのですが、青年部に所属していた頃からいろいろな方に知り合えることがビジネス以上に楽しかったのです。
だから、青年部を卒業した後、すぐ女性会に入会しました。年齢も業種もバラバラな人たちが集まっているので、経営に携わる多くの方々と触れ合う中で様々な考え方を知ることができます。自分の知らない世界を知ることって大切ですよね。交流が深まるだけでも学びになっています。
イベントがあるときはその準備で忙しくなりますが、皆で力を合わせて成功した時に絆が生まれますし、楽しさを感じますよね。
荒井:経営をしていると、ものの見方や考え方も、トップの立場で考えることが中心になってしまいがちですが、女性会では後輩の立場になることもあるので、自分の態度や言動を振り返るきっかけにもなりますよね。女性会に入ったことで、部下がどう考えているか、その立場に立って考えられるようになり、今まで見えなかったことが見えるようになりました。
猪股:経営者として同じ立場にある会員の皆さんの姿に励まされることも多いです。トップに立っていると大きな悩みや問題にぶつかることもありますが、活動の中で一緒にご飯を食べたり、寝泊まりしたり、普段トップに立つ人たち同士が「素の自分」で話している時に「私と同じ悩みを抱えている人がいる」「この人も大変な時には涙を流していたんだ」ということに気づきました。
今野:私は、女性会に入らなければ出会えなかったような方々と出会えたことが何よりの財産だと思っています。そして、出会えたからこそ学べたことがたくさんあります。
同じ経営者でも様々なスタイルがありますし、コロナ禍でも、皆さんが何を考えて、どんな行動をしているか、間近にお話が聞けるのは女性会ならではだと感じました。どんな状況でも常に頑張っている方がいること自体に励まされます。
荒井:10年以上前になりますが、環境保護活動にまだ世の中の目が向いていないときに、女性会が率先して、地域を巻き込んで環境問題に取り組んだこともありました。そういう意味では、気付いていなかったところに目を向けさせてくれる場でもありますね。
今は女性起業家や女性経営者も増えて、女性が活躍する時代になってきましたが、先輩女性経営者の方々は、女性地位向上のためにすごく努力されてきたと思うんです。そういう努力があってこその今ですよね。
佐藤:私は母の代から商工会議所に入っているんですが、当時から時代を先駆けた取り組みを行っているのが女性会でした。長い歴史のある団体ですが、皆さんが仰るとおり、お互いの存在・経験が励ましやヒントになりますよね。それが年代を越えた団体の強み・魅力ですし、仙台商工会議所女性会の中に脈々と受け継がれているものです。
辞めることは簡単ですが、続けていかなければ歴史は築けません。それを築いてきた諸先輩方に感謝ですし、私たちも次代に受け継いでいかなければ、と思います。
仙台の未来を輝くものにするために
猪股:私は子育て支援をしていきたいと思っています。今は少子化の時代。その背景には、環境や価値観の変化があると思うのですが、子育て支援をすることで、子育てを謳歌できる女性を少しでも増やしたいです。
そうすることで、若い世代の女性も未来に希望を持つことができ、不安が少なくなれば安心して子供を産む覚悟が生まれるのではないかと思います。決して一人ではなく、地域社会も巻き込んで、その環境を整えていきたいですね。
子育ては性別も年齢も関係ない、皆の役割ですから。それは地域を越え、日本を越え、世界に共通することだと思います。結果的にはSDGsの考えにつながりますね。
佐藤:本当ですね。女性会ではSDGsに取り組むことを目標として掲げています。女性会が社会課題に対してできることは、まず私たち自身が知識を得ること、そして多くの人に実情を知ってもらうこと。問題を解決した「結果」ではなく、解決までの過程で私たちにできることがたくさんあると思っています。
荒井:世の中が気付いていないことでも、女性目線で見たら重要な課題であることは往々にしてありますよね。一人が行動を起こすことももちろん大切ですが、一人でやるよりも女性会の組織力を活かせばより多くの力を結集できますしね。
今野:私は、子育てに奮闘しながら自社の経営も女性会の活動も頑張っている、自分と同世代の女性経営者が「女性会に参加していて良かった」と感じられる瞬間をたくさん作れたら良いなと思っています。
女性会に参加することで、自社の経営・商売を越えて視野が広がり、街づくりや社会に貢献したいという想いにつながって、結果として女性会をフィールドとして行動を起こせる循環を作りたいです。
伊勢:皆さんのお話を聞いて、女性ならではの行動力と女性会の組織力を活かして新たな事業をスタートさせてはどうかと感じました。地域にも、会員の皆さんのビジネスにも良い影響を与えられる事業ができそうです。こうして会話の中でアイデアが生まれる良さをあらためて実感しました。
佐藤:先程話にも挙がった女性会の会報誌「たばね」は、活動のすべてが書いてある「女性会の歴史そのもの」でもあります。「束ねる」という言葉には、「バラバラになったものを集める」意味がある一方で「ひとつになったものを離れないようにグッと固める」意味もあり、私は後者の考えを特に大切にしたいと思っています。集まってくれた会員の皆さんを離れないように束ねていく、そんな固い結束を持って、輝く女性会を作っていきたいですし、女性会の輝きを仙台のより良い未来につなげていきたいですね。